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第105回実験実習支援センターセミナー

第20回解剖学セミナー
なぜ体内時計は必要なのか:リズム研究から見えてきた生命機能に果たす新たな役割

演 者

早坂 直人(山口大学大学院医学研究科解剖学准教授、科学技術振興機構(JST)さきがけ)

日 時

平成26年5月9日(金)16:00〜

場 所

基礎研究棟2階 教職員ロビー

発表内容(予定)

・概日リズムの破綻と代謝、骨形成異常など、多様な病態の出現
・脳機能発現におけるアストロサイトの能動的寄与の発見

講演要旨

 地球の自転によって規則正しく繰り返される昼と夜。その劇的な環境変化にうまく合わせるかのように、体中の多くの細胞の中に、約24時間周期の「概日リズム」を自律的に駆動する時計が存在する。ではその存在意義は何か。長年のリズム研究の中で、このシンプルな問いに対する答えの糸口が見つかってきたのはごく最近になってであり、ヒトの生理機能との関わりや、それが破綻した結果である疾患とのリンクに関する研究は、まだ緒に就いたばかりである。例えば、概日時計破壊マウスにおいて、動脈硬化症の増悪が最近報告された。それ以外にも、自己免疫疾患、神経変性疾患、精神疾患、代謝性疾患(メタボリックシンドローム、糖尿病)など多岐にわたる疾患と概日リズム異常の相関を示唆するデータが蓄積しつつある。また、これらの疾患と密接な関係のある「老化」のプロセスも、概日時計の機能低下との関連が報告されている。一方、報告の多くは現象論の記述にとどまり、概日リズム変容と特定疾患の発症、進展との因果関係や相関を裏打ちする分子基盤について言及するには至っていないというのが現状である。
 本セミナーでは、近年の概日時計分子基盤研究の進展について概説し、その中で最近行って来た基礎医学研究の成果の一部を紹介する。まず、概日リズムが多様な生理機能と個体の恒常性の維持に重要な役割を果たし、概日時計の機能不全が複数の病態に関与する例を報告し、リズム破綻と疾患の関連について考察する。また、体内時計研究の興味深いトピックとして、脳視床下部視交叉上核に局在する概日リズム中枢における、グリアの能動的な関与について、最新の成果を紹介する。

                             解剖学講座・実験実習支援センター 共催


このセミナーは大学院博士課程の講義として認定されています。


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Last Updated 2014/4/21