第108回実験実習支援センターセミナー
脂質シグナリングとの歩みを通して:
スフィンゴシン1リン酸とエキソソーム成熟調節
演 者
中村 俊一(神戸大学医学研究科生化学分野教授)
日 時
平成26年11月27日(木)17:40〜
場 所
基礎研究棟2階 教職員ロビー
講演要旨
私が医学生の頃、細胞膜は半透膜で出来ていて、透析膜のような役割を果たしていると考えられていました。その頃学部学生の私は毎日暇を持て余し、クラブ活動やバイトに明け暮れる「遊び学生」でした。そんな折、生化学教室で実験の手伝いをしていた「優等生先輩」の誘いで、実験室を見学することになりました。それがきっかけで、クラブ活動感覚で研究室に出入りするうちに、恩師の先生と出会いました。その頃、恩師の研究室では「細胞膜の構成成分の脂質が細胞外の環境変化に応答して代謝され、その代謝産物がセカンド・メッセンジャーとして働き、多岐にわたる生命現象を調節している」とする大胆な仮説を証明する為に教室の構成員が一丸となって、昼夜を問わず研究に励んでいました。そんな先生方の姿を拝見するうちに、私も気がつくと、その一員になっていました。それから30年間、脂質シグナリングを追い求め、あの時の興奮が忘れられず今も研究を続けています。
本日はスフィンゴ脂質代謝産物のスフィンゴシン1リン酸によるエキソソーム成熟調節に関する最新の知見をご紹介したいと思います。エキソソームは免疫に於ける抗原提示や、癌の悪性化に関する微小環境形成、神経変性疾患の病巣伝播等に関して新たな細胞間情報交換の手段として注目されています。短い時間ですが、本日は少しでも皆様と「情報交換」が出来れば光栄です。
研究医養成検討ワーキンググループ・実験実習支援センター 共催
このセミナーは大学院博士課程の講義として認定されています。 |
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Last Updated 2014/10/27