第109回実験実習支援センターセミナー
ヒトゲノム研究を通じて学んだこと
演 者
前田 士郎(琉球大学大学院医学研究科先進ゲノム検査医学講座教授)
日 時
平成26年12月1日(月)17:40〜
場 所
基礎研究棟2階 教職員ロビー
講演要旨
ヒトゲノム解析技術の進歩はめざましく、現在全ゲノム領域を網羅した生活習慣病の関連遺伝子探索(ゲノムワイド関連[相関]と呼ばれています)が可能となっています。この手法により、それまで不可能といわれてきた生活習慣病等、ありふれた病気(common disease)の、なりやすさに関わる遺伝子領域(疾患感受性遺伝子領域)の同定が次から次へと達成されるようになり、この分野に大きなブレイクスルーがもたらされました。しかしながら、私がゲノム研究分野に飛び込んだ2000年当時は、まだ発展途上で、壮大な計画に巻き込まれつつも心のどこかで、「これは、やっぱり無理なのではないか」といつも不安に苛まれていました。このような不安を一掃したのは、強力なリーダーシップで決して前進することをあきらめない、プロジェクトリーダー中村祐輔先生(当時)の強い信念ではなかったかと思います。最初の成果が出るまでに私たちの場合8年の年月が必要でした。長い苦しい時でしたが、今思えば、私を最も成長させてくれた時期では無かったかと思います。もちろん私一人では何も出来なかった訳で、滋賀医大を含め国内外の多くの共同研究者のご協力を得て仕事をしてきました。様々な分野との連携を大切にして、決してあきらめることなく、目標に突き進む覚悟をもてば、いつの日か報われるのではないかという気がしています。現在は沖縄でゲノム研究拠点を構築するべく奔走しておりますが、まだまだ苦労が絶えません。今回は私の研究生活を通じて感じてきたことを、私見を交えて(私見のみかもしれません)お話ししたいと思います。
研究医養成検討ワーキンググループ・実験実習支援センター 共催
このセミナーは大学院博士課程の講義として認定されています。 |
Copyright (C) Central Research Laboratory. All right reserved.since 1996/2/1
Last Updated 2014/10/28