第113回実験実習支援センターセミナー
アルツハイマー病における2つの異なるγ-secretase活性変化が
CSFのAβ42減少と脳内Aβ蓄積を引き起こすか?
演 者
角田 伸人(同志社大学生命医科学部医生命システム学科助教)
日 時
平成28年2月4日(木)13:30〜14:30
場 所
基礎研究棟2階 教職員ロビー
講演要旨
これまでの神経病理学的研究により、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)発症の10年以上前から脳内ではアミロイドβタンパク質(Amyloid β-protein; Aβ)の蓄積が起こり始めていることが明らかにされている。細胞内で産生されるAβはおよそ40アミノ酸残基のタンパク質であるが、その中でも特に42アミノ酸残基のAβ42が脳内に蓄積している。このことから、多くの研究者はAβ42の蓄積がAD発症の原因であると考えている。Aβ42が脳内に蓄積する一方、脳脊髄液(CSF)のAβ42が減少することもこれまでの研究で明らかとされている。そのため、CSFのAβ42はADバイオマーカーの一つとして用いられている。これらのことから、「Aβ42の脳内への蓄積は、CSFのAβ42低下を引き起こす」という考えが広まっている。しかし本当にそうであるのか脳内AβとAβ産生酵素の活性の両面からあらためて検証した。
Aβはγ-secretaseの切断により産生されるが、細胞内には局在が異なるγ-secretaseが存在することが知られている。ADではそれぞれのγ-secretase活性が変化して、CSFのAβ42の減少とAβ42の脳内蓄積を引き起こしている可能性があり、CSFと脳実質におけるAβ42の変動は、個別の現象ではないかと考えられるため、ご紹介させていただく。
分子神経科学研究センター・実験実習支援センター 共催
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Last Updated 2016/1/25