医学総合特論パイオニアセミナー
第121回実験実習支援センターセミナー
幹細胞の未分化性におけるα1,3フコース転移酵素の機能解析
演 者
等 誠司(滋賀医科大学 生理学講座 統合臓器生理学部門部門 教授)
日 時
平成29年6月12日(月)17:40〜19:20
場 所
臨床講義棟1階 臨床講義室1
講演要旨
神経幹細胞やES細胞、iPS細胞のような幹細胞は、周囲の環境や細胞からシグナルを受け取って、未分化性(さまざまな細胞に分化しうる、いわゆる”万能性”)を保っています。細胞同士の情報交換の際には、細胞の表面に発現しているタンパク質だけではなく、タンパク質に付いている糖鎖も大きな役割を担っています。幹細胞の未分化性に深く関わる糖鎖として、LewisX抗原がよく知られていますが、私たちはLewisX抗原の生合成に関わる酵素(α1,3-フコース転移酵素と呼ばれます)のうち、神経幹細胞に豊富に発現するFut10 に注目し、その機能を詳しく調べています。これまでの解析では、Fut10 はES細胞や他の多くの幹細胞にも発現していて、幹細胞の未分化性を保つために重要な働きを担うと推測しています。Fut10 が、どのようにしてLewisX抗原を付加する糖タンパク質を見つけ出し、幹細胞の状態によってLewisX抗原の量を調節しているのか、理解したいと思っているのに加え、幹細胞の振る舞いを制御できるようになれば、例えば神経幹細胞やiPS細胞を利用した再生医療にも生かせる知識を得られると考えて、鋭意研究を進めています。
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Last Updated 2017/5/19