入江 一浩(京都大学農学研究科食品生物科学専攻食品生命科学講座 教授)
平成30年5月15日(火)16:00〜
基礎研究棟2階 教職員ロビー
筆者らは,凝集性の高い42残基のアミロイドβ42タンパク質 (Aβ42) の系統的なプロリン置換法や固体の核磁気共鳴法を用いた解析により,Glu22とAsp23残基付近でのターン構造(毒性ターン)とC末端の疎水性コアを特徴とした毒性2量体モデルを提唱した.最近,Aβ42のC末端領域の様々な部位で架橋した2量体モデルを合成することにより,C末端における疎水性相互作用によって形成される2量体が,準安定な毒性オリゴマーを形成しやすいことを明らかにし,12〜24量体のオリゴマーが毒性本体であることを示唆するデータを得た.さらに,この毒性ターンならびに毒性2量体モデルを認識するモノクローナル抗体を複数作成し,細胞内オリゴマーの検出や脳脊髄液を用いたAD診断に応用可能であることを示した.
(参考論文)
1. Morimoto, A. et al., J. Biol. Chem., 279, 52781-52788 (2004).
2. Murakami, K. et al., J. Am. Chem. Soc., 127, 15168-15174 (2005).
3. Masuda, Y. et al., ChemBioChem, 10, 287-295 (2009).
4. Murakami, K. et al., ACS Chem. Neurosci., 1, 747-756 (2010).
5. Murakami, K. et al., Sci. Rep., 6, 29038 (2016).
6. Irie, Y. et al., ACS Chem. Neurosci., 8, 807-816 (2017).
7. Izuo, N. et al., Sci. Rep., 7, 11811 (2017).
8. 入江一浩, 村上一馬,「認知症」, 実験医学増刊, 35, 52-59 (2017).
神経難病研究センター神経診断治療学部門・実験実習支援センター 共催
本セミナーは、大学院博士課程「医学総合特論」の認定セミナーです |
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Last Updated 2018/4/23