朝比奈 欣治 (Kinji Asahina)(滋賀医科大学実験実習支援センター准教授 Ph.D., FAASLD)
令和4年6月27日(月)18:10〜19:50
臨床講義棟1階 臨床講義室1
肝臓は多くの代謝に関わる重要な臓器であり、実質細胞である肝細胞がその中心的な働きをしています。肝臓が傷害を受けると、類洞に存在する肝星細胞やクッパー細胞などの非実質細胞が刺激を受け、肝臓が線維化し、やがて肝硬変へと病状が進行します。肝臓の傷害時における非実質細胞の役割については多くの研究がなされていますが、その発生起源、特に肝星細胞についてはほとんどわかっていませんでした。そこで、2007年より肝臓発生における肝星細胞の発生起源の研究を開始し、肝臓表面を覆う中皮細胞が肝臓内部に進入し、肝星細胞に分化することを明らかにしました。さらに、成体の肝臓が傷害を受けると、肝臓表面の中皮細胞が筋線維芽細胞に分化し、肝臓表面の線維化に関わることを報告してきました。
肝臓は腹腔内に位置し、肝臓や腹腔の表面は中皮細胞に覆われています。腹腔内を中皮に覆われた袋とみなすと、腹腔内に浮遊しているマクロファージは中皮細胞と相互作用し、肝臓の損傷治癒に関わることが推測できます。実際に、マウスを用いた研究により、肝臓が傷害を受けると、腹腔マクロファージが肝臓の線維化部位に動員されること、腹腔マクロファージと中皮細胞が相互作用していること、中皮細胞の形質変化による肝疾患への影響を、これまでに見出しています。本セミナーでは、独創的な研究の試みと、未発表の研究成果についてご紹介します。
▼セミナーポスター
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Last Updated 2022/06/13