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配置図配置ガイド

ガスクロマトグラフ

ガスクロマトグラフ

 ガスクロマトグラフは、移動相に窒素ガスや、ヘリウムガス等の不活性気体を用い、固定相には、硅藻土等の担体にシリコンオイルのような高沸点の液体を含浸させたものを用いるクロマトグラフィーです。
 この方法は、移動相に気体を用いるので分析する試料も気体である必要があります。試料を気体状態に保つためにガスクロマトグラフ内は通常高温になっており、また、試料は揮発性が高く熱に対しても安定である必要があります。したがって、難揮発性の試料や、熱に不安定な試料はこの分析法には適しませんので適当な前処理(誘導体化)を行なう必要があります。
 また、市販のガスクロマトグラフの検出器としては、水素炎検出器(Flame ionization detector:FID)が一般に採用されています。これは、分離された有機化合物を水素炎中に導きイオン化させ、生じた荷電粒子量を電気的に検出するものです。

カラムについて

 ガスクロマトグラフに使用されるカラム(固定相)には以下のものがあります。

    充填カラム(Packed column)
  • 硅藻土など、多孔質の担体にシリコンオイルのような高沸点の液体を含浸させたものをガラス管や、ステンレススチール管に充填したものを充填カラムと言います。最も一般的に使用される固定相で、多くの種類があります。
    キャピラリーカラム
  • ガラスや、溶融石英の細長い管(内径が0.2mm前後で長さが25m〜50m)の内壁にシリコンオイル等の液相を薄くコーティングしたり化学的に結合させたカラムで、充填カラムに比べて非常に高い分離能を持っています。サンプルを高感度、高分離能で分析したいときに用います。
    ワイドボアーカラム
  • キャピラリーカラムの内径の太いもので(0.5mm前後)、サンプル負荷量が小さいというキャピラリーカラムの欠点を補いながら、キャピラリーカラムの高分離能を持ったカラムです。

検出器について

 ガスクロマトグラフに使用される検出器には以下のものがあります。

    熱伝導度検出器(Thermal conductivity detector, TCD)
  • ガスクロマトグラフの初期から最も多く使用されている検出器で、キャリアガス以外の成分を全て検出することができるが、感度は比較的低い。
    加熱されたフィラメントをガスクロマトグラフのカラムから流出してくるキャリアガスの中に置くと一定の割合で熱が奪われます。この熱が奪われる経路にはいろいろなものが考えられますが、周囲のガスの熱伝導に因るものがほとんどであり、一定の流量のキャリアガス中に置かれたフィラメントはある一定の温度で平衡状態にあります。ここで、キャリアガスに試料成分ガスが混ざって出てくると熱伝導度がキャリアガスだけの時と比べて異なりますのでフィラメントの温度が変化し、その抵抗値が変化します。この時の抵抗値の変化をWheatstone bridgeで電気信号として検出します。
    水素炎イオン化検出器(Flame ionization detector, FID)
  • ガスクロマトグラフの高感度検出器として広く利用されている検出器で、ほとんどの有機化合物を検出することが出来ます。
    電気伝導度がガス中の荷電粒子の濃度に比例することを応用した検出器。
    カラム出口から流出してくるキャリアガスに水素ガスを一定の割合で混合し、それを空気または、酸素の雰囲気中で燃焼させます。キャリアガスだけの時にはほとんど電流は流れませんが、有機物質がキャリアガス中に混入してくるとイオン化され、有機物質の量に応じた電流が流れます。これを電圧として取りだし、検出する方式の検出器です。
    電子捕獲検出器(Electron capture detector, ECD)
  • 特定成分(ハロゲン化物やニトロ化合物、燐、鉛化合物など)に対して極めて高い感度を示す検出器で、農薬や、PCB等の残留分析に用いられています。
    イオン化室内に放射性同位元素(63Ni)を封じ込めておき、そこをキャリアガス(窒素などの不活性ガス)が通ると、イオン化され、一定の電流が発生します。ここに、親電子性の物質が入ると、この電流が減少します。この電流の減少を検出する方式の検出器です。
    フレームサーミオニック検出器(Flame thermionic detector, FTD)
  • 燐化合物や、窒素化合物に対して選択的に高い感度を示す検出器で、農薬の有機燐剤や、カーバメート剤の残留分析に良く使われます。
    水素炎イオン化検出器のフレーム中にアルカリ金属塩を入れ、熱するとアルカリ金属の蒸気がフレームの温度でイオン化されます。ここに、燐や、窒素の化合物が入ってくるとアルカリ金属の熱イオンが増加しますのでこの熱イオン電流を検出する方式の検出器です。
    質量分析計
  • ガスクロマトグラフに質量分析計を接続することによりガスクロマトグラフィーの弱点である、同定のあいまいさ(保持時間のみに頼っている)をカバーすることができます。この質量分析計を接続したガスクロマトグラフをGC-MS(Gas chromatograph-Mass spectrometer)と呼びます。
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Last Updated 2005/6/20