液体クロマトグラフ
液体クロマトグラフ
近年、自然科学関係の研究室で最もポピュラーに見受けられるようになった高速液体
クロマトグラフ(High-performance Liquid Chromatograph)は、移動相を送液す
るポンプ、試料を分離するカラム、検出器、および、カラムに試料を注入するサンプル
バルブからなっております。その他、高級機種では、複数の移動相を流すために2台の
送液ポンプを備えたものやカラム恒温槽、データ処理装置、システム化してコントロール
するマイクロコンピューターを備えたものなどがあります。また、生物試料を対象とし
て、移動相と接する部分がすべて不活性な材質からなる装置も市販されています。
以下に、これらの構成機器について簡単に説明いたします。
カラムについて
高速液体クロマトグラフで用いられるカラムには以下の種類があります。
分離しようとする試料によって最適のカラムを選択する必要があります。
吸着クロマトグラフィーカラム
-
不活性な無機の固定相に対する試料の吸着の差で分離するもので、一般に順相クロマ
トグラフィーと呼ばれる分析に用いられるカラムで、球状あるいは破砕状のシリカゲル
微粒子が充填されたカラムが最も良く用いられます。
分配クロマトグラフィーカラム
-
担体に疎水性液体をコーティング、または、化学的に結合させたものを固定相とした
カラムで、試料の移動相と固定相との分配係数の差で試料を分離します。一般に逆相
クロマトグラフィーと呼ばれる分析に用いられるカラムで、オクタデシル基がシリカゲル
に結合したODSと称されるものが最もよく使われるカラムです。イオンペアークロマト
グラフィー等が開発され、このタイプのカラムを用いることによって分離できないもの
は無いとまで言われるほどに優れ者のカラムです。
イオン交換クロマトグラフィーカラム
-
イオン交換樹脂を固定相としたカラムで、陽イオン交換、陰イオン交換それぞれのカ
ラムがあります。
排除クロマトグラフィーカラム
- ゲル濾過に用いられるカラムで、タンパクの精製や蛋白のサイズの決定に用いられ
ています。
その他
-
特定の物質に親和性を持たせたアフィニティーカラムや光学分割カラムなどがありま
す。
ポンプ
移動相の液体を送液するためのもので、ほとんどの高速液体クロマトグラフには
プランジャーポンプが用いられています。市販の装置には、脈流を無くして送液を安定
させるための工夫が色々なされたポンプが採用されています。
検出器について
示差屈折計
-
紫外部や可視部に吸収帯を持たない試料の場合に用いられます。
紫外可視吸光度計
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最も一般的な検出器です。光源にヨーソランプや重水素放電管を用いた波長可変型
のものや水銀ランプを用いた固定波長型のものがあります。また、マルチチャンネル
ディテクターを用いて一定波長範囲の吸光度を同時検出し吸収スペクトルや多波長同時
検出を行なう方式の検出器もあります。
蛍光
-
試料そのものの蛍光を検出する場合もありますが、むしろ、高感度分析を目指して
蛍光誘導体に変えて分析する場合が多く、色々なタイプの蛍光検出器があります、
現在では励起光源にレーザーを用いたものもあります。
その他
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カテコールアミン測定装置に用いております電気化学検出器、ラジオアイソトープ
の検出装置、さらには、質量分析計を検出器とするいわゆる液体クロマトグラフ質量
分析計(LCMS)等があります。
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Last Updated 2005/6/20