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配置図配置ガイド

光学顕微鏡について

光学顕微鏡には、鏡基の形式によって正立顕微鏡、倒立顕微鏡などと呼ばれ、また、光学系によっても位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、蛍光顕微鏡などと区別されます。さらに、照明の仕組みから、明視野照明顕微鏡、暗視野照明顕微鏡、落射照明顕微鏡などがあります。
 どのような試料の何を観察したいかによって適切な顕微鏡や観察方法を選ぶ必要があります。

光学顕微鏡の構造について

光学顕微鏡は光学系の配置から、正立型と倒立型の二つに大きく分類され、それぞれはつぎのような構造をしています。


図1

正立顕微鏡

この型の顕微鏡は、下部の光源からの照明光を反射鏡、視野絞り、コンデンサーレンズを通過させ試料にあてます。ステージの上方に対物レンズがあり、ステージと対物レンズの間に試料を載せ、上部の接眼レンズから試料を観察します。また、写真撮影装置は上部にあります。

倒立顕微鏡

この型の顕微鏡は、照明装置が上部にあり、照明光はコンデンサーレンズ、視野絞りを通ってステージの上の試料にあたります。ステージの下に対物レンズがあり、結像光線を下部の反射鏡で反射させ、接眼レンズで観察します。従って、培養細胞などの入ったシャーレなどをステージの上に置いた場合でも、観察する面がシャーレの底面になり、スライドグラスを用いたときと同様に明瞭に観察することが出来ます。
 そして、倒立顕微鏡、正立顕微鏡はいずれの顕微鏡も適当な付属装置を付けることによって、位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡、あるいは蛍光顕微鏡として使用出来ます。

対物レンズについて

 光学顕微鏡の分解能は、光源の波長のほかに、対物レンズの開口数と収差によって決まります。従って、対物レンズの性能に因って大きく左右されます。そして、対物レンズの開口数は、レンズの倍率に関係があり、収差は、レンズによる光の屈折に関係があります。そこで、対物レンズの性能を上げるために、収差を取り除いたり、開口数を大きくするなど様々な工夫が施されています。

収差について

収差には、球面収差、コマ収差、非点収差、色収差、像面湾曲収差などがありますが、中でも対物レンズの分解能に大きな障害を与えるのが色収差と像面湾曲収差の二つです。そこで、この二つを補正するために、凸レンズと凹レンズを組み合わせた様々な構造の対物レンズがあります。たとえば、アクロマート対物レンズ:このレンズは、C線(赤)とF線(青)の色収差を完全に補正しています。
アポクロマート対物レンズ:これは、C線、F線とD線(黄)の色収差を補正しています。  セミアポクロマート対物レンズ:このレンズは、アポクロマート対物レンズの設計をやや簡単にしたものです。 プランアクロマート対物レンズ:このレンズは、C線とF線についての色収差と、像面湾曲収差について補正したもので、写真撮影に適しています。
 プランアポクロマート対物レンズ:このレンズは、C線、F線とD線の色収差と像面湾曲収差について補正したもので、収差補正に関してはほぼ完璧な対物レンズです。

開口数とは?

識別できる2点の最小距離を分解能といいますが、これは 0.61 l /n Sin a で表され、この式で、a は光源とレンズの光軸とのなす角、n はレンズと試料との間の媒質の屈折率、l は光源の波長です。そして、この式の n sin aをレンズの開口数と呼びます。開口数を大きくすれば分解能が上がりますが、レンズの構造上aは72度が限界です。「油浸対物レンズ」は、カバーグラスと対物レンズの間にガラスと同じ屈折率を持つシーダ油(n = 1.515)を浸し、この開口数を大きくし分解能を上げようとするものです。
 なお、対物レンズには、図に示します様に色々な記号が表示されています。これらはそれぞれ図に示した意味を持っております。

図2

接眼レンズについて

接眼レンズは、1〜3個のレンズを組み合わせて構成されており、鏡筒内に付属している視野絞りの位置でホイゲンス型とラムスデン型の2種類に分ける事が出来ます。ホイゲンス接眼レンズは、視野絞りが接眼レンズの鏡筒の中にあり、一方、ラムスデン接眼レンズでは、この視野絞りが接眼レンズの鏡筒の外にあります。
 また、ペリプラン接眼レンズと呼ばれるものは、非点収差、像面湾曲収差、倍率色収差を補正し、視野の周辺部まで鮮明に見える様にしたもので写真撮影に適しています。

視野絞りとは?

これには、接眼レンズ鏡筒内で発生する有害な反射光や周辺部の収差の多い部分をカットする働きがあります。視野絞りは、接眼レンズの焦点面にありますので、この位置に計測用のミクロメーターを置きますと、試料の観察と同時にミクロメーターの目盛りで試料の大きさの計測も出来ます。

位相差顕微鏡

無色透明な媒質の中に、媒質とごく僅かだけ屈折率が異なる無色透明な微細構造 がある場合、原則として、光学顕微鏡でこれを観察することは出来ません。これを解決するために染色を行ないます。しかし、染色せずに肉眼で観察しようとして開発されたのが位相差顕微鏡です。

なぜ見えるようになるか

位相差顕微鏡は、極くわずかな屈折率の差を明暗の差に換えて観察するように工夫された顕微鏡です。
 いま、生理食塩水に浮遊した細胞を観察するとします。細胞は周囲の媒質である生理食塩水より屈折率が大きいので、細胞を通過した光は、生理食塩水を通過した光より光学的光路長がごく僅か長くなります。光学的光路長とは、媒質の幾何学的な厚さにその媒質の屈折率をかけた値です。下図に示しますように、生理食塩水より屈折率の大きい細胞を通過した光OBは、バックグラウンドである生理食塩水を通過した光OAに比べ僅かながら位相の遅れが生じます。
 ところで、光OBは、生理食塩水を通過した光OAと細胞で回折を起こした光OCとによって合成された光です。光OCは、光OAより振幅が小さく、位相が1/4波長以上遅れています。そこで、位相差板を用いて、像面における回折光線成分の光OCの位相を、非回折光線成分の光OAより1/2波長だけ遅らせてやると、両者の合成波である光OBの振幅は(OA−OC)となり、細胞の像は、バックグラウンドである生理食塩水の明るさよりも暗くなって見える筈です。反対に、非回折光線成分の光OAの位相を位相差板で遅らせて、回折光線成分の光OCと同じ位相にしてやると、両者の合成波の光OBの振幅は(OA+OC)となり、細胞の像はバックグラウンドである生理食塩水の明るさより明るくなって見える筈です。このように位相差顕微鏡は、僅かな屈折率の差を利用して我々の目には見えなかった微細構造を見えるようにしたものです。

位相差顕微鏡を使うとき対物レンズに対応した絞りを用いる

位相差顕微鏡では、絞りはドーナツ型のリングスリットを採用しており、コンデンサーと一体になっています(ターレットコンデンサー)。対物レンズの倍率が決まると、それに対応した絞りの輪の直径と幅が決まりますので、各対物レンズに対応した絞りを用いる必要があり、対物レンズを交換する度に絞りの方も取り換えなければなりません。位相差対物レンズには、屈折率の大きい観察対象を周囲の媒質より暗くする、ポジティブコントラスト(ダークココントラスト)対物レンズと、これとは逆に、屈折率の大きいものをバックグラウンドより明るくするネガティブコントラスト(ブライトコントラスト)対物レンズとがあります。

微分干渉顕微鏡

 微分干渉顕微鏡は、光学顕微鏡に微分干渉装置を取付けて、光の干渉現象を利用して、試料の屈折率や厚みの変化を干渉色の変化や明暗のコントラストに換えて観察出来る様にしたもので、明視野顕微鏡では観察出来ない透明な試料、例えば無染色の生物試料などを観察するのに用います。

微分干渉装置について

 微分干渉装置は、一組のノマルスキープリズムとポラライザー、アナライザーと呼ばれる二枚の偏光板から出来ています。これを光学顕微鏡に下図の様な配置で取り付けることによって微分干渉顕微鏡として使用することが出来ます。

図4

 仕組みについて簡単に説明しますと、以下のようになります。光源からの光をポラライザーを通して直線偏光に換え、コンデンサー側ノマルスキープリズムに入射します。入射光線は、この段階で、偏光面が互いに直交した二つの光に分れます。
そして、このノマルスキープリズムによって二つに分けられた光が再び交わる面に焦点面を一致させてコンデンサーレンズを置くと、僅かに横ずれした互いに平行な光が得られます。この平行光線を試料に照射します。
 ここで、媒質内に屈折率の異なる透明物体がある試料を考えます。
明視野で照明した場合は、図の様に入射波面SはS' のように変形されて出て来ることになりますが、先の二つの平面偏光で照明しますと、図の様に、でてきた光は、僅かに横ずれした二つの波面O,Eとなります。
 試料を透過した光は、対物レンズを通り焦点を結びますが、この焦点の位置に対物側ノマルスキープリズムのローカライズ面を一致させておきますと、二つの光路は再び一つになり二つの波面が干渉します。この時、波面に傾斜のある部分の光路差はδとなり、背景の光路差Δとは異なるために、それぞれ異なった干渉色を示します。この干渉色を観察することにより、波面の傾斜部分つまり屈折率の変化する部分を見ることが出来ます。また、背景の光路差Δは対物側ノマルスキープリズムを移動することにより変化させることが出来ます。


図5

微分干渉顕微鏡を用いて観察するには

先ず、ノマルスキープリズムとポラライザー、アナライザーを光路からはずし、通常の顕微鏡と同様に、コンデンサーレンズの芯出しを行います。
 次に、ポラライザーとアナライザー(対物側ノマルスキープリズムが一体になっているものもある)を光路に入れ、ポラライザー回転つまみを操作しポラライザーがアナライザーと直交する位置に固定します。この位置決めをするには、接眼レンズをはずし、かわりに芯出し鏡を取り付けて覗いた時の視野に見える暗十字、または黒の干渉縞(機種によって異なる)が、最もシャープに見える位置に合わせます。
 最後に、ターレットを回すことにより対物レンズの倍率に応じたコンデンサー側ノマルスキープリズムを選択し、対物側ノマルスキープリズムを光路に入れて観察します。
 また、観察中に移動つまみを用いて対物側ノマルスキープリズムをずらしますと、背景の干渉色が連続して変化します。

蛍光顕微鏡

蛍光顕微鏡は、試料に紫外線や短波長の可視光線(紫色〜青色)を照射し、励起された試料より発する蛍光を観察するために、光学顕微鏡に、試料を励起するための光源部と、励起光をカットし、試料より発した蛍光を透過させる接眼フィルターを取り付けた装置です。透過型蛍光顕微鏡(薄い試料の観察に用いる)と落射型蛍光顕微鏡(厚い不透明な試料の観察に適する)の二つがあります。落射型蛍光顕微鏡では、短波長の光を反射し長波長の光のみ透過させる性質を持ったダイクロイックミラーを光路に挿入し、光源からの励起光と試料からの蛍光を分離しています。

図6

フィルターについて

光源としては、一般的には、超高圧水銀ランプが用いられています。この光源は365 nm, 405 nm, 436 nm に輝線を持っています。
 ところで、この光源からは、種々の波長の可視光線も放射されており、観察の妨げとなりますので、励起フィルターを用いて、紫外線と短波長の可視光線のみを透過させ、不要の可視光線を吸収除去しています。
 また、試料から発した蛍光を観察する際に観察者の目を紫外線から保護する為に接眼フィルター(バリアフィルター)を用います。このフィルターは、蛍光によって起こる霧視現象を防止し試料の蛍光を明瞭に観察出来る様にする為のものでもあり、蛍光顕微鏡で最も重要な部分です。

蛍光顕微鏡による試料の観察法について

試料そのものが発蛍光性である場合と、試料に処理を施して蛍光性に換えて観察する場合とがあります。後者には、蛍光染色法、化学的蛍光処理法、蛍光抗体法等があります。
 蛍光染色法は、試料を蛍光色素で染色する方法です。次の、化学的蛍光処理法は、試料に化学的処理を施して蛍光性をもたせる方法で、サイアミンを酸化してチオクロームに変えて青白色の蛍光を観察したり、ホルムアルデヒドを作用させてモノアミン類を観察したりするのがこれに相当します。最後の蛍光抗体法は、免疫組織化学的方法で、細胞や組織内の抗原の存在分布を検索する方法として、細胞生物学、微生物学、免疫学、病理学、臨床検査などの諸分野で広く用いられている方法です。抗原性を有するもので、これに対する蛍光標識抗体があれば、この方法による観察の対象になります。

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Last Updated 2005/06/22