徳島大学大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部・神経情報医学分野・COE特任教授 田宮元
平成18年3月6日(月)17:00〜
基礎研究棟2階 教職員ロビー
ジストニアは捻転性で反復性の行動や異常姿勢を生じる維持性筋収縮によって特徴付けられる症候群である。これまで少なくとも15のメンデル遺伝性のジストニアが知られているが、家族歴のない弧発症例も多く報告されている。このメンデル遺伝性のジストニアのうち、X連鎖ジストニア・パーキンソニズム(XDP)は線条体神経に変性を来たす伴性劣性の運動障害である。その疾患遺伝子(DYT3)はこれまで連鎖解析によってXq13.1にマッピングされていた。我々は疾患連鎖領域のBACコンティグをXDP患者由来のDNAを用いて作成し、ショットガン法によって塩基配列を完全決定した。この解析の結果、患者特異的なSVAレトロトランスポゾン挿入をTAF1遺伝子中に見出した。このレトロトランスポゾン挿入は患者ゲノム中で高度にメチル化されていた。またXDP脳組織を用いた解析の結果、TAF1遺伝子のニューロン特異的アイソフォームの発現が有意に低下していることを見出した。これらの結果から、SVAトランスポゾン挿入がTAF1のニューロン特異的なアイソフォームの発現を低下させ、このことによってXDPに特徴的な線条体ニューロンの変性が引き起こされると考えられた。今回の発表では、このXDPの原因遺伝子探索に関して発表し、ついで弧発例のジストニアの遺伝子解析に関しても紹介したい。
田宮元教授は分子遺伝学の専門家で、特にヒトの遺伝性ジストニアの原因遺伝子の解明など、優れた業績をあげておられます。このプロジェクトには、本学分子神経科学研究センターも共同研究に参画しています。この領域の最先端の研究成果をご紹介頂ける予定です。(分子神経科学研究センター 遠山育夫)
共催:分子神経科学研究センター・神経遺伝子解析分野、実験実習支援センター
このセミナーは大学院の講義として認定されています。 |
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Last Updated 2006/2/16