佐賀大学大学院農学研究科修士課程1年 飯笹英一
平成18年3月28日(火)14:30〜
基礎研究棟2階 教職員ロビー
目的の遺伝子をベクターにクローニングすることは特定の遺伝子やタンパク質を研究する上で重要である。しかし、制限酵素処理した目的の遺伝子断片とベクターをリガーゼで結合させるという従来のクローニング法はしばしば上手くいかないことがある。特に、数十kbの巨大な遺伝子断片をクローニングする場合や、複数の遺伝子断片を同時にクローニングする場合には多大な努力を要する。
一方で、酵母two-hybrid法でおなじみの酵母は、高い相同組換え率を持っており、ベクターに遺伝子をクローニングするのに理想的なツールである。酵母の相同組換えを利用したクローニング法では、巨大な遺伝子断片や複数の遺伝子断片を簡単にベクターに組込むことができる。しかし、多くのベクターは酵母の複製起点を持たないので、このクローニング法は使えなかった。そこで、我々は普通のクローニングベクターを酵母で複製可能にする“ヘルパープラスミドpSU0”を開発した。このpSU0により、普通のクローニングベクターにも酵母相同組換えを利用して簡単に効率よく目的の遺伝子をクローニングすることが可能となった。
酵母相同組換えを利用すれば、遺伝子断片のクローニングを効率よく行うことができる(我々の実験結果では、目的遺伝子断片が1つなら、80-90%、2つ同時に組込む場合でも、60%ぐらい)。また、このクローニング法の利点を生かせば、部位特異的変異(塩基置換、欠失、挿入)の導入や、キメラタンパク質(タグ融合タンパク質など)の作成が容易にできる。
今回の講演では、従来法では効率の悪い遺伝子断片のクローニングを、酵母相同組換えを利用して簡単に効率よく行える新しいシステ ムを紹介していただきます。このシステムは、演者の大学院生の飯笹英一氏とその指導教員の永野幸生先生(現佐賀大学総合分析実験センター助教授・元本学微生物学講座助手)が、普通のクローニングベクターを酵母で複製可能にする“ヘルパープラスミドpSU0”を開発したことにより可能となりました。このシステムを用いた効率よく目的の遺伝子をクローニングする方法、ならびに、このクローニング法の利点を生かした部位特異的変異(塩基置換、欠失、挿入)の導入や、キメラタンパク質(タグ融合タンパク質など)の作成、及び、クローニングが難しい数十kbの巨大な遺伝子断片の容易なクローニング法について紹介していただきます。(支援センター 礒野 高敬)
詳しくは、http://www.iac.saga-u.ac.jp/lifescience/researches/research2.htmを参照下さい。
このセミナーは大学院の講義として認定されています。 |
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Last Updated 2006/3/20