磯貝 純夫(岩手医科大学医学部解剖学講座 発生学・分子探索学分野 准教授)
平成23年2月14日(月)16:00 〜
基礎研究棟2階 教職員ロビー
ヒトの脳は内頸動脈と椎骨動脈によって動脈血の供給を受け、内頸動脈と椎骨動脈は大脳動脈輪と脳底動脈によって互いに連絡する。この動脈系は脳が正常に機能するための安定した血液供給を受けるうえで必須と思われ、脊椎動物を通して保持されている。脳から血液を排出する静脈系についてもヒトから魚に至るまで共通した解剖学的構造を示す。これまで、これら血管系の解剖学的構造は、未分化な毛細血管網から血流動態によって選ばれて発達した動静脈、つまり血流が決定すると信じられてきた。“脊椎動物を通じて恒常的な循環システムの解剖学的基本構造が血流動態と言う偶然性の強い因子のみによって系統・個体発生学的に形成・保持され得るのか?”との問いに始まった我々の研究は、ラットの上肢 と腎・副腎・性腺 の血管系の解剖学的構造の決定過程で原始血管網もリモデリングも関与しない初期過程の存在を明らかにした。
我々は、前駆細胞を含む血管内皮が蛍光を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュと二光子励起顕微鏡を使用して、機能する脳血管系のパターンの形成過程を連続したライブイメージで捉えた。同イメージは、脳血管系の解剖学的基本構造を決定する初期過程が遺伝的要因によって時間的・空間的に厳密に規定されることを示唆した。上記血管系を構成する動脈と静脈の内皮細胞の由来と内皮細胞が血管系の解剖学的基本構造を作り上げて行くメカニズムについて述べる。
解剖学講座・実験実習支援センター 共催
このセミナーは大学院の講義として認定されています。 |
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Last Updated 2011/2/4