日高 紀久江(筑波大学大学院人間総合科学研究科 准教授)
平成23年2月28日(月)15:00 〜
看護学科棟 第1講義室
脳血管障害や交通事故等により意識障害が長期化している患者の多くが臥床傾向にあり,肺炎や褥瘡,尿路感染等の二次的合併症のリスクが高く,合併症を発症すれば生命の危機に瀕する場合もあります.意識障害患者の栄養は主に現状の「維持」を目的にしていますが,生活の再構築に向けてはADLの拡大が必要です.そのためには「積極的」な栄養管理が重視されます.つまり,ADL拡大にはリハビリテーションを行いますが,リハビリテーションに耐え得る体力をつけるための栄養摂取が必要になります.しかしながら,経管栄養を行なっている障害者においては,活動性が低いことを理由に基礎代謝量程度のカロリーしか摂取していないことが多く,その状態でリハビリテーションを実施すれば,かえって体力を消耗させてしまいます.意識障害者は意思の表出が困難であることから,脳死や栄養・水分補給中止等による安楽死など,国内外において常に倫理的な論議の対象にされてきました.しかし,長期間低栄養の状態にあることも倫理的な問題ではないでしょうか.本講演では,意識障害者の栄養改善による身体づくりを基盤に,感覚と運動を統合した看護実践とその成果についてご紹介したいと思います.
解剖学講座・臨床看護学講座成人看護学領域・実験実習支援センター 共催
このセミナーは大学院博士課程の講義として認定されています。 |
本講演会の開催にあたっては、滋賀県立リハビリテーションセンター外部委託調査研究助成、JA共済研究助成、および三井住友海上福祉財団の研究助成による協力を受けています。
前へ | 先頭へ |
Last Updated 2011/2/14