宇田川 潤(解剖学講座・生体機能形態学部門 教授)
平成23年6月14日(火)16:00 〜
実習棟2階 B講義室
Barkerらにより成人病胎児期起源説が提唱されて以来、胎生期の環境と生後の生活習慣病との関連を示唆する報告が数多くなされてきた。胎生期のエピジェネティックな変化は、臓器機能の形成、ひいては生後の疾患の発症素因に大きく関与すると考えられている。我々は、成体では主に免疫系に関連しているサイトカインや、肥満に関連しているレプチン、あるいは副腎皮質ホルモンなど様々な生理活性物質をマウス胎児に投与し、胎生期の臓器発生に及ぼす影響を形態および機能の両面から検討してきた。その中で、レプチンは胎生期の大脳皮質組織形成に関与し、神経幹細胞や神経系前駆細胞の維持作用を有することが明らかとなってきた。また、レプチンはニューロンの分化および移動の促進、オリゴデンドロサイトへの分化調節作用を有していることが確認された。一方、成体ではレプチンにより負の制御を受けるニューロペプタイドYも中枢神経系発生に関与していることが示唆された。そこで、今回はレプチンを中心に、内分泌環境の胎生期における変化と中枢神経系発生との関連について、過去の報告を交えて考察する。
滋賀医科大学解剖学講座・実験実習支援センター 共催
このセミナーは大学院博士課程の講義として認定されています。 |
前へ | 先頭へ |
Last Updated 2011/6/1