等 誠司(滋賀医科大学 統合臓器生理学講座 教授)
平成24年3月13日(火)16:00 〜
基礎研究棟2階 教職員ロビー
哺乳類の発生は、全能性(totipotency)を有する受精卵から始まり、万能性(pluripotency)を保持する胚盤胞期の胚(この時期の内部細胞塊から作製されるのがES細胞です。俗に万能細胞と呼ばれる所以です)を経て、各臓器が形成されます。神経細胞とグリア細胞とに分化する能力(多分化能=multipotency)を持つ神経幹細胞も、胎生早期(マウスでは受精後1週間くらい)に誘導されますが、ここでおきている分子機構には不明な点が多く残されています。受精直後には、極めてダイナミックなエピジェネティクス変化(遺伝情報を伝えるゲノム=DNAの化学修飾によって遺伝子発現が制御されること)が起きていますが、その後のパターン形成や各臓器の初期発生におけるエピジェネティクス制御については知見が乏しいのが現状で、世界中でホットな研究が進められています。今回私達は、神経幹細胞の形成にエピジェネティクス変化の1つであるDNA脱メチル化が重要な働きをしており、そこにGlial cells missingと呼ばれる遺伝子が関わることを発見したので、ご紹介します。
このセミナーは大学院博士課程の講義として認定されています。 |
前へ | 先頭へ |
Last Updated 2012/3/1