PNAは、ポリアミドの骨格にA, G, C, T の塩基が結合した構造になっており、DNase, RNAase, proteaseにも耐性で、血液中でも
分解しない化合物である。
PNAは、骨格にチャージが無く、立体的なフレキシビリティがあるので、DNA, RNA と強固に結合する。その為、1塩基当たり、合
成DNAよりTm値が1度高い。そのうえに、特異性も高い。各種の核酸ハイブリダイゼーションのプローブとして有用である。
また、PCR反応の妨害物質として利用し、mutationの解析にも応用されている。PNAの合成装置が開発され、受託合成を受け付けている。
一度ためしに使ってみたいという気にさせるが、1塩基、6000円という価格は、いかにも高いという印象を受けた。
生体高分子を非破壊的にイオン化し質量分析する装置が開発されてきた。その一つとして、飛行時間型質量分析計(TOF/MS )がある。
イオン化法として、matrix assisted laser desorption-ionzation (MALDI) 法とelectrospray ionization (ESI)法がある。パーセプテ
ィブのTOF/MS, Voyager は、delayed extraction (DE) 機構を付加して分解能を上げている。
Voyager は、分子数100dの低分子から400kdの高分子を解析でき、10kd以下の分子量の物質を測定して測定質量誤差は1d以内で、
正確な分子量測定ができる。サンプル中に含まれる塩や界面活性剤などの不純物の影響を受けず、数十fmolのペプチドサンプルを高感
度に分析できる。蛋白質の翻訳後の糖鎖などの修飾の解析や、N末及びC末からのアミノ酸配列の決定などの応用ができる。ゲノムプロ
ジェクトは、2001年までに完了すると言われており、ポストゲノムの研究がこれから重要になる。たとえば、ある遺伝子をノック
アウトしたマウスの脳とノーマルのマウスの脳で発現している蛋白質を2次元電気泳動して、変化したスポットから、蛋白質を抽出して、
TOF/MS で分子量を調べ、更にその蛋白質をN末及びC末から加水分解した試料をTOF/MS でアミノ酸配列を解析すれば、ゲノムバンク
からどの遺伝子かが解るような時代になってきている。また、従来のMSや、ペプチドシーケンサーが必要でなくなってしまうかもしれない。
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Last Updated 2005/7/27