藤田 禎三
福島県立医科大学 生化学第二講座 教授
平成11年12月20日(月)16時00分〜17時30分
基礎研究棟2階 教官ロビー
高等動物における免疫系は,特異的な認識機構とその記憶に特徴を持つ獲得免疫と,初期感染防御において働く自然免疫または先天性 免疫に分けられる。自然免疫は原始的であるため,獲得免疫を持たない下等動物においても普遍的に生体防御に機能している可能性がある。 抗体が関与しない自然免疫では,動物レクチンは糖鎖を持つ種々の微生物に結合できる優れた生体防御の担い手である。レクチンは微生物に 結合することで,凝集を起こし,単純に増殖を阻止する機能を持ったタンパク質であったであろうと考えられている。その後,新たにオプソ ニン作用を獲得して,食細胞が異物を貪食する働きを助けるように進化したと考えられる。その例として血清レクチンのコレクチンファミ リーやフィコリンファミリーが挙げられる。コレクチンの中に,マンノース結合レクチンにセリンプロテアーゼが結合したタンパク質複合 体が存在する。この複合体はレクチンを介して異物を認識するばかりでなく,セリンプロテアーゼが作用して補体系(補体レクチン経路)を 活性化するという特異な機能を発揮している。本講演ではレクチン経路とその起源について概説する。
生化学第二講座・分子神経科学研究センター・病理学第二講座 共 催
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Last Updated 2005/7/22