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第35回実験センターセミナー


自己の癌に対する免疫応答と癌の免疫治療

演 者

菊地浩吉
  札幌医科大学名誉教授

日 時

平成15年3月29日(水)16:00〜

場 所

基礎研究棟2階 教官ロビー

概 要

 癌患者が自己の癌細胞に対して免疫応答し、癌細胞を拒絶するか否かについては、今世紀初頭から激しい議論があった。
 私達は一貫して自己の癌に対する特異的な免疫反応の実証と解析を行ってきた。一方、これまで世界各地で行われてきた、いわゆる癌 の免疫療法の殆どは、非特異的な免疫操作による癌細胞増殖抑制や、感染防御の誘導による効果を期待するもので、真の意味の癌の免疫に 基づくものではない。従来の研究の最大の欠落点は、癌免疫研究の出発点であるべき抗原分子が不明なことであった。
 私達は癌細胞を培養し、更に同一患者の癌組織からT細胞をとりだし、自己の癌を破壊するキラーT細胞(CTL)クローンを樹立した。現在、 胃癌、乳癌、膵癌、口腔癌、肺癌など二十数系統の癌細胞培養株とこれを破壊する自己CTLのペアを確立している。このことは癌患者の体内 に自己の癌細胞を殺すCTLが存在するという確証である。
 一方、NIHのRosenbergら、ベルギーのBooneらはメラノーマで癌拒絶の標的抗原ペプチドをいくつか同定し免疫治療に応用している。私 達は日本人に多い胃癌、肺癌など上皮性癌について上述の癌細胞培養株・CTLクローンのペアを用い、T細胞の抗原レセプター、その標的と なる自家癌抗原ペプチド、それを提示するHLA分子などを同定しつつある。CTLクローンはこのHLA遺伝子を導入した同種癌株も破壊し、 またHLAの共通な癌患者のCTLは癌抗原ペプチドと反応することが証明された。したがってこの抗原分子は共通のHLAの癌に有効なワクチ ンとなる可能性がある。
 このように癌免疫の研究はほぼ1世紀の紆余曲折を経て、ようやく自己の癌に対する特異的免疫の分子機序が明らかにされ、臨床応用が 試みられようとしている。


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Last Updated 2005/7/21