辻本 豪三
国立小児病院・小児医療研究センター・分子細胞薬理研究部 部長
平成12年11月7日(火)16:30より
基礎研究棟2階 教官ロビー
ヒトゲノム計画により遺伝子情報は爆発的に増大してきている。このゲノムデータベースに基づき病気の罹り易さや薬物作用の個体差を 説明する遺伝的背景の網羅的理解と更にそれを用いた患者個々に於ける治療の至適化が可能であると考えられPharmacogenomics 薬理 ゲノミクス というコンセプトが登場した。ゲノム情報と並びヒトゲノム情報解析技術など具体的方法論も急速に確立してきており、ゲノ ム科学を新薬の探索研究から開発、臨床薬物療法最適化にまで適応しようとする応用科学領域として薬理ゲノミクスはごく最近急速に進展 してきている。薬理ゲノミクスはゲノム情報とゲノムテクノロジーによる(1)多因子疾患の治療創製と(2)臨床薬物治療の個別至適化、 を目的とする。(1)多因子疾患の治療創製に関し、ゲノム科学は知的基盤に大きな変革をもたらすし研究のフローも大きく変わるであろ うが、基礎薬理学研究はこれからのポスト・シークエンスの機能ゲノム科学においてますます大きな役割を担うこととなろう。一方、(2) 臨床薬物治療の個別至適化に関しては、ゲノム科学に基づく臨床薬理研究者の役割がますます大きくなることが予測される。いずれの方向に おいてもゲノム科学を基盤とする基礎・臨床薬理学の理解を必要とし、その様な新たな薬理研究者が求められる。創薬科学、基礎・臨床薬 理学、いずれも新たな知的地平を得て大きく変革しながら自己進化することが求めらる。
放射線基礎医学講座 共 催
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Last Updated 2005/7/21