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フローサイトメーターを用いたリンパ球の活性化の解析法


伊藤 靖  (病理学第二講座)

フローサイトメーターを用いると細胞に結合した蛍光抗体の蛍光強度を単一細胞レベルで測定して、個々の細胞の分子の発現を半定量的に解析できる。従って、単一細胞浮遊系である血液、免疫系の細胞の解析によく用いられる。
Tリンパ球は抗原提示細胞上の抗原を認識すると、蛋白リン酸化、カルシウム流入に代表されるシグナル伝達を介して活性化する。活性化によりTリンパ球はサイトカインを分泌したり、分裂をする。これらの活性化に伴う変化はフローサイトメーターにより検出可能である。活性化に伴い変化する分子と細胞の状態には次のようなものがある。
  1. 表面分子:CD25やCD69などはTリンパ球が抗原を認識して活性化したとき、細胞表面に発現し、活性化マーカーと呼ばれる。

  2. 細胞内分子:分泌型サイトカイン (IFN-γ、 IL-2、 IL-4)を細胞内染色にて、解析する。

  3. 分子定量化:T細胞抗原受容体(TCR)が抗原提示細胞上のMHC:ペプチド複合体と結合すると、細胞内に取り込まれて細胞表面の発現が減少する。1細胞上のTCRあるいはMHC:ペプチド複合体の数を蛍光色素定量ビーズを用いて測定し、抗原認識に用いられたTCRの数を決定する。

  4. 分裂回数:分裂前に蛍光色素CFSEでTリンパ球をラベルする。分裂によって蛍光色素の量が半分になることを利用して、分裂回数を測定する。

  5. カルシウム:Indo-1はカルシウムイオンに結合すると異なる波長で発光することを用いて、細胞質のカルシウム濃度の変化から細胞の活性化を測定する。

以上の事項について、Tリンパ球の抗原認識の分子機構の基本的な事項を交えながら、実例をあげて、Tリンパ球の活性化の研究法について解説する。

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Last Updated 2005/8/5