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In situ ハイブリダイゼーション組織化学法


安原 治                        
(分子神経科学研究センター システム脳機能分野 助教授)

mRNA、オリゴヌクレオチドプローブ、cRNAプローブ、ジゴキシゲニン

 in situ ハイブリダイゼーション組織化学法は免疫組織化学法や酵素組織化学法と並んで分子形態学的研究のための強力な武器となっている。免疫組織化学法や酵素組織化学法が免疫活性や酵素活性などを指標にしてタンパク質自身の局在を解析することを目的とするのに対して、in situ ハイブリダイゼーション組織化学法は特異的な核酸の配列を検出することを目的とする。とくにmRNAの配列を対象とする場合には、タンパク質産生の場を示すことになる。したがって、in situ ハイブリダイゼーション組織化学法の効力は、例えば、1)タンパク質の存在が細胞による取り込みによるものか産生によるものかの判定、2)タンパク質が神経突起に局在する場合、そのタンパク質を産生する神経細胞体の証明、3)抗体が利用できない場合の、あるいは、新規にクローニングした遺伝子の発現を検討したい場合、4)ウィルスDNAの検出、などの例を想定すれば明らかであろう。とくに、中枢神経系など多くの細胞種が混在する組織で、タンパク質の産生細胞を同定したい場合には、極めて有効な手法である。
 一般には、放射性同位元素(RI)をレポーター分子とするin situ ハイブリダイゼーション法が感度の面で勝っており技術的にもほぼ確立している。しかし、RI標識in situ ハイブリダイゼーション組織化学法は解像度が悪く、また、バイオハザードの面からも、RIを用いない高感度のin situ ハイブリダイゼーション組織化学法の確立が望まれている。
 本講義では、非放射性in situ ハイブリダイゼーション組織化学法の概念と現況を、われわれの実験例を交えて概説し、近年、盛んに行われるようになってきた、in situ ハイブリダイゼーション法以外の新しいin situ mRNA 検出法の試みについて言及する。

A. 非放射性 in situ ハイブリダイゼーション組織化学法

 実際の実験手順は、(1)プローブの選択と作製、(2)切片の作成と前処置、(3)ハイブリダイゼーション反応とハイブリダイゼーション後の洗い、(4)標識物質の可視化、ということになる。以下、各段階における留意点を列挙する。
  1. プローブの選択と作製;オリゴヌクレオチドプローブか、cRNAプローブか? 標識分子の選択(ビオチン、ジゴキシゲニン等)
  2. 切片作製;いかに形態の微細構造を保ち、mRNAの分解を防止し、しかもプローブの浸透をよくするか?
     −− 固定法、切片前処理(タンパク分解酵素処理、界面活性剤、酸処理等)等の工夫。
  3. ハイブリダイゼーション反応;反応条件(ストリンジェンシー)の設定
  4. 標識物質の可視化
     現在の非放射性 in situ ハイブリダイゼーション法では感度に問題があり、すべての標的mRNAが検出できる手法とはなってはいない。そこで、検出感度を高めるための工夫が必要となってくる。本講義では、CSA法などハイブリダイゼーション・シグナルを増幅する試みについても言及する。

B. その他のin situ mRNA検出法の試み

 cRNA プローブを用いるin situ ハイブリダイゼーションはかなり高感度にmRNAを検出することが出来るが、その感度には依然として限界がある。そこで、近年、新しいmRNA検出法が考案され、一部利用されつつある。しかしながら、一般的な実用化には程遠いのが現状である。
  1. in situ 転写法(Primed in situ labeling; PRINS)
  2. in situ RT-PCR
  3. in situ RNA ポリメラーゼ反応(In situ "NASBA")

 分子生物学的手法の発展は形態学の分野においても大きな変革をもたらしつつある。分子生物学的な知識を、新しい着想で形態学の分野に応用することが出来れば、画期的な新しい形態研究の方法を確立することも夢ではない。

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Last Updated 2005/8/5