TOPページに戻るサイト内を検索するサイトマップリンク
機器部門RI部門配置図セミナー産学連携学内向け
過去のセミナー支援センターセミナー支援センター特別講習会支援センターテクニカルセミナー支援センター交流会

実験・研究を進めるさいのちょっとしたコツ
MEDLINEやPubMedの使い方、実験法の調べ方、
機器の簡易チェック法、記録のとり方・保存法、作文技術


堀池 喜八郎(生化学第一講座    
実験実習機器センター)

1.文献の調べ方

1-1 文献検索をする目的は2つ
(i)関心のある事項について、日々最新の論文を探し出す
 自分が遂行している研究テーマについて絶えずチェックし、最新情報を知り、競争に勝たなければならない。この場合、検索に用いる キーワード(物質名・病名・実験方法・研究者名など)は確定していることが多い。
 PubMedの利用。
(ii)関心のある事項について、過去の論文を探し出す
 関心のあるテーマについて、過去の文献の山を調べ、論理演算を行って絞り込んでいき、必要な論文を探し出す。
 MEDLINE(MEDLARS On-Lineの略)(Index Medicus) の利用。
 MEDLARS: Medical Literature Analysis and Retrieval System

1-2 先生・先輩・友人(リソース=パーソン)に尋ねる
 いいかげんな人に聞くと、いいかげんな答え、あるいは誤った情報を得るかもしれない。信頼できる確かな人に聞く。
 抽象的な質問では、有用な情報を得ることは難しい。

1-3 core journalsのいくつかには、毎号目を通す(卒読する)
 経済的に可能なら私費で定期購読する。必要な頁は切りとり、図書館にある雑誌は、原則的に一年以上保存しない。
 core journalsのうち、特にreview誌に目を通すことを薦める。

1-4 core journals の目次に目を通す
 「Current Contents」が便利。

1-5 コンピュータによる検索

1-5-1 データベースには種類がある  いくつかのデータベース
  Index Medicus (MEDLINE)、PubMed、Chemical Abstracts (CA search)、
  Biological Abstracts、Current Contents、Science Citation Index、医学中央雑誌
 当然のことながら、データベースによって収録している雑誌の種類や分野、データの構築法がちがう。
 ちなみに、MEDLINE(1966〜現在)とPubMedは似て非なるデータベースである。PubMedでは、(i) インターネット経由で無料で 利用できる、(ii) MEDLINEにアクセスできる、ことに加え、次の(iii)〜(v)にアクセスできる。
 (iii) 一般的な科学雑誌や化学関係の雑誌に掲載された生命科学関連の論文
 (iv) MEDLINEにindexingされる前の論文
 (v) PubMedCentralに集録されている生命科学関連の雑誌

1-5-2 欲しい論文にたどりつくにはコツがいる
 キーワード検索だけでよいのか。
 まず、自分の検索しようとする分野のキーワード(基本的知識)を頭に入れなければならない。そのためには、まず総説(それも 信頼しうる著者の書いたもの)や単行本を読んで、知識を身につける。キーワードの選択がまさにキーである。
 目的とするものを効率よく見つけ出すことができるように、MEDLINEや医学中央雑誌のようなデータベースでは、索引(キーワード)の 付け方に規則を設けている。そのルールを知らないと検索もれが多数出たり、的はずれの論文が多く検索されたりして、本命の論文に なかなかたどり着けないことになる。
 マニュアルや解説書に目を通し、データベースのデータ構築法を理解する。これが大切である。

1-6 PubMedやMEDLINEを使うときのコツ
 MEDLINEでは、人indexerが文献の主題分析を行い、ルールに従って検索用の索引(キーワード、MeSHとよばれる統制語)を 付けている。
 ここではMEDLINEやPubMedでのキーワードの付け方を簡単に説明する。

1-6-1 MeSH (Medical Subject Headings、医学件名標目、メッシュ)を理解し利用する
・キーワードにはMeSH(統制語)とフリーターム(自由語)の二種類がある。
(i)MeSH(統制語)
 用語集(シソーラス)に登録されているキーワードである。
(ii)フリーターム(自由語)
 統制されていない用語で、著者が題や抄録などにおいて用いているすべての用語をさす。新概念や新規物質名など、その時点でMeSHに 登録されていない用語はフリータームによって検索する。
・MeSH用語は、(i) 通常のMeSH (majorとminor), (ii) Subheading(副標目), (iii) Check Tagの3つに大別され、これらをうまく 利用すると、的確な検索ができる。
  Check Tag−研究の種類、ヒトの年齢、性別、状態、研究対象(ヒト・動物)

1-6-2 MeSHの確認のためにThesaurus(シソーラス)コマンドを利用する
 このコマンドはキーワードを探すためにも重要である。このシソーラスの役割は同義語を一つの言葉で代表させることである。 PubMedではサイドバーのMeSH Databaseから入っていき、MeSH Browserをクリックする。
 また、Indexコマンドによる検索も大変便利であり、大切な方法である。PubMedではPreview/Indexから入り、キーワードを入力し、 Indexボタンをクリックする。キーワードからアルファベット順に索引用語が検索数とともにリストされる。

1-6-3 検索例
(i)「肺癌」を検索するとき、
     lung cancer
     lung carcinoma
     lung tumor
     lung neoplasms
など、いくつか同義語があるが、MEDLINEでは "lung neoplasms" というMeSHをキーワードとして採用している。
 したがって、他の3つで検索すると50〜95%以上の文献をおとすことになる。幅広く網羅的に検索したいときはMeSHを用いなければ ならない。

(ii)そうではなくて、求めるテーマ(主題)に適合するそのものズバリの論文がほしいときは、フリータームで検索するほうがよい場合も ある。
 たとえば、肺の扁平上皮癌を検索するとき、検索例(i)のようにMeSHを使って、"Lung Neoplasms" と "Carcinoma Squamous Cell" を AND演算子でつないで検索すると、幅広く文献を知ることができる。
 一方、フリータームである "Lung Squamous Cell Carcinoma" で検索すると、著者が題や抄録などにおいて必ずこの用語を使っている 論文が検索されるので、非常に適合性の高い論文を知ることができる。
 検索の目的によって、これらを使い分けることが大切であるが、検索の基本はMeSHによるものである。この場合はMeSHと フリータームの両方で検索を試みる。

(iii)自分がアルブミンそのものの研究をしており、その論文が欲しいする。
 この時、フリータームでALBUMINと入力し検索してしまうと、アルブミンを単なるコントロールや比較の対象としてしか扱っていない 論文まで拾ってきて、その数は厖大なものになってしまう。
 この場合のように、キーワードに関連の深い、重要度の高い論文だけを知りたいときは、major MeSHに限定して検索するとよい (ALBUMIN in MJMEと入力)。主要でない文献を除外できる。PubMedではLimitsに入り、All Fieldsのpull-down menuの中から MeSH Major Topic, MAJRを選択する。

 いずれにしろ、自分の検索しようとする用語がMeSHに登録されているかどうか確認しなければならない。
 MEDLINEの使い方も含め、図書館の検索コーナーにある「Medical Subject Headings(医学件名標目表)」の日本語「ガイド版」や オリジナルの本に、一度目を通そう。
 MEDLINEの検索法は奥が深い。

2.実験方法の調べ方

2-1 まず先生や先輩に尋ねる
 信頼できる確かな人に聞き、正しい確かな答えを得る。いいかげんな人には聞かない。

2-2 本で調べる
 生化学の分野ならば、Methods in Enzymology (Academic Press)、生化学実験講座(東京化学同人)、実験化学講座(丸善)で 調べる

2-3 PubMedやMEDLINEで調べる
 (i) MeSH (majorとminor) と (ii) Subheading(副標目)のたとえば“Analysis (AN)”や“Methods (MT)”を利用する。

3.科学(医学)データ、数値、定数の調べ方

3-1 ハンドブックや辞典のような、reference booksの種類や所在場所を把握しておく
 生化学関係ならば、
  生化学辞典(東京化学同人)、生化学データブック(東京化学同人)、
  化学便覧(丸善)、Enzyme Nomenclature、TheMerck Index、
  The International Critical Table、
  医学英語論文の書き方マニュアル(American Medical Association,
  Manual of Style、共和書院)、ランダムハウス英和辞典(小学館)、
  世界人名辞典(岩波書店)など。

3-2 SI単位(国際単位系)を理解する
 「物理化学で用いられる量・単位・記号」朽津耕三 訳(講談社サイエンティフィク)

 例1
 g (グラム)、g (自由落下の標準加速度やg因子など)、G (ギブズエネルギーや重力定数など)、 G(ガウス)
 例2
 k(ボルツマン定数、速度定数など)、K(平衡定数など)、K(ケルビン)
4.分析機器のチェックの仕方

 実験機器や装置の使用前には、必ずマニュアル(取扱説明書)に目を通すべし。得るところ大である。

 電子天秤、pHメータ、温度計、ピペットマンなど、実験に用いる機器は共同利用のものが大半であり、前の利用者がどんな使い方を したかわからない。また、経年変化(劣化)は避けられず、1年前と同じように正しく機能しているとは限らない。つまり、これらの 機器が正しく作動しているかどうか、日常的にチェックしなければならない。
 講義では、基準物質や実験室にふつうにあるものを用いて、1分以内にできるチェック方法を解説する。

5.実験ノートの書き方、まとめ方

1) 日付の記録
 2003年7月10日なら、030710あるいは20030710と書く。
 後日、データをまとめたり、コンピュータで検索したり、並びかえるときに便利である。
2) 毎回の実験に、具体的なわかりやすい題名をつける。
 できれば題名は文章にする。
悪い例
「内皮細胞に対する化合物Xの影響」
改良例
「内皮細胞の機能(××酵素、××シグナル伝達系)に対して化合物Xは活性化すのか、阻害するのか」
3) その実験の目的や立案するに至った経緯を書く。
 同種の実験でも、それに至る仮説や状況は違う。
4) 得られたデータの解釈や考察を書く。
 実験に失敗したと判断したならば、その根拠を詳しく書いておく。
5) real timeを記録しておく。
 たとえば「30分間 incubation」という処理のとき、「10:03?10:33」のように、その時の時刻を記録しておく。各ステップ毎に、 その時の時刻をメモる。
 そうすれば、処理(操作)から処理(操作)へと進行していく時間経過をたどることができ、結果が得られるまでにかかった本当の 時間が確認できる。
 処理と次の処理の間の空白時間(病棟で費した時間や、だべった時間)が後でわかり、得られたデータの解釈の際、参考(判断材料) になる。
6) 用いた試薬や機器について、詳しく記録する。
 試薬の場合、Lot番号も控えておく。
 機器の場合、それが設置されている場所も記録しておく。たとえば、研究室にpHメータが複数台あるとき、どれを使ったのか、 あるいは実験センターのものを使用したのか。
7) ちょっとした計算も、計算式からその結果まで、全てを必ず書き残す。
 後で、計算ミスがあったかどうかがチェックできるようにしておく。

6.文献コピーや実験データの整理・保存法

6-1 コピーなど記録の仕方とその保存方法
1) 情報源が人の話なら、その人の名前、日付、その時の経緯なども記録しておく。
 「いつ、だれから。 ・・・がきっかけで、・・・に興味をもち、・・・した。」
2) 本や論文の一部のコピーの場合、その出典を書いておく。同時に、その本の所有者の名前(図書館名や人名)も記録しておく。
 これらは、将来、引用あるいは参照、また思い出す(忘れない)ために非常に大切である。
3) 保存法は、その方法が自分の性格にあっていて、何十年にわたって継続できることが肝要であり、かつ、検索するとき、 その事項や論文の再喚起(知識の記憶のリフレッシュ)ができる方法がよい。

6-2 縮小コピーのすすめ(ただし、ひずむことに注意)

7.理科系の作文技術=情報の発信

 講義ではいくつかの本(作文技術に関する本、英語の辞典、文例の辞典)を紹介し、私の経験に言及する。

7-1 パラグラフの重要性、日本語作文の場合の「テン」の打ち方など

7-2 論文の題や要約・抄録の書き方
 題目は、簡潔で、情報量豊かで、かつ、結論が述べられていなければならない。
 副題の利用。

7-3 記号の使い分け
1) たとえば、横線である、ハイフン(-)、ダッシュ(?)、引き算の記号(−)、負の数の記号(−)、  化学結合の単結合記号(?)やイオン(電荷)を表す記号(-)をどう使い分けるか。
  例 5-3、5 - 3、 5−3、5 − 3、 5?3、5 ? 3
2) D-アミノ酸のD記号はsmall capitalであり、「D-セリン、D -Serine」のように書く。
 small capitalとは、テキスト中で使っている文字の大きさ(ポイント数)よりも、少し小さいポイント数で表した「小さな大文字」 のことである。
 雑誌によっては人名にも、HORIIKEのように、用いていることがある。

前へ 先頭へ
Copyright (C) Central Research Laboratory. All right reserved.since 1996/2/1

Last Updated 2005/6/22