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ラジオアイソトープ(RI)取り扱い実験法
32P標識プローブを用いたノザンハイブリダイゼーション


木村 博  (放射線基礎医学講座 教授)      
竹本 忠司 (放射線基礎医学講座 助手)      
福堀 順敏 (放射線同位元素研究センター 教務職員)

 本講義では、「ノザンハイブリダイゼーション」の実験過程について、スライドや実演を多く準備して皆さんに仮想体験していただこうと 考えている。その中でRNA実験およびRI実験のポイントについて学んでいただきたい。初めての人には敷居が高く感じられがちであるこれら の実験が、実はいくつかのポイントに気を付けさえすれば、通常のDNA実験と同様に誰にでも簡単に出来るものであるということを 強調したい。
 RNA実験は、いかにRNAを分解させずに扱えるかにかかっているといっても過言ではない。RNA分解酵素(RNase)は実験者の皮膚・汗・ 唾液や水道水中など至る所に存在する。またオートクレーブ程度では簡単には不活化できない。そこで、RNA実験の基本は次の三点である。 1) RNaseを失活させる。器具や試薬のDEPC処理や、高熱での処理などによる。2) RNaseを実験系に入れない。 手袋を着用する。素手で器具を触らないのはもちろんのこと、手袋をした手で素手で触れたところを触らないように注意する。 チューブ、チップ類はできるだけディスポのものを用いる。3) 喋らない。意外と守れないのがこれである。
図1  RNA実験の基本がいかに実験系への汚染を防ぐかであるのに対して、RI実験のポイントは汚染と被曝を極力避けるということである。 核酸のハイブリダイゼーション実験で主に用いられる32Pは、高エネルギーのβ線を放出するため外部被曝が問題となる。 32Pのβ線は約1.7MeVのエネルギーを持つため、空気中では最大数メートル飛ぶ。また、体内の透過性は最大1cmにも達 するとされている。それでは、どのようにして被曝を避ければよいのだろうか。放射線外部被曝防護の三原則を思い出 して欲しい。1) 距離を取ること。これは自分の手の長さ以上に離れて実験することはできないために自ずと限界があ るが、特に被曝の影響が大きい目などを不必要に近づけないということに留意して欲しい。2) 遮蔽すること。透明な 厚さ1cm程度のアクリル製の遮蔽板が市販されている。またサンプルチューブや使用済みの器具を収納するための専用箱などもあるので、 これらを用いて遮蔽する。対面式の実験台の場合、向かい合う実験者への配慮も必要である。3) 時間を短くすること。 コールドランなどの下準備を十分にすることにより、実験時間を短くする工夫をする。また、指先だけはほとんど距離が取れないので、 原液を扱う場合などは不必要に長時間持たないことに注意する。
 それでは、実際の実験の流れについて簡単に触れておこう。図1にノザンブロットハイブリダイゼーション実験の流れについて示した。 1) まず調べたい組織からtotal RNAを抽出する。細胞が死んだり破壊されたりすると、細胞自身が持っていたRNaseによるRNAの分解が 起こるため、 図2 新鮮な組織からの素早いRNA抽出が重要となる。2) 抽出したRNAの濃度を測り、規定量を電気泳動する。RNaseのコンタミを防ぐことと 正確な定量がきれいなデータを得る為のポイントとなる。3) メンブレンに転写する。転写後UVでクロスリンクしたRNAは安定である。 4) DNAプローブを32Pで標識する。ランダムプライマー法(図2)でラベルする為のキットが多数市販されており、 簡単な操作で効率よくラベルできるようになっている。5) ハイブリダイゼーションを行う。6) 洗浄後、オートラジオグラフィーやインス タントイメージャーなどで可視化する。
 講義の後、放射性同位元素研究センター(RIセンター)に移動し、ランダムプライマー法によるDNAプローブのラベルおよびインスタ ントイメージャーでのシグナルの検出過程の実演を行う。図2にあるようにランダムプライマー法では、熱変性させた鋳型DNAに対し ランダムな短い配列(6-8塩基程度)のプライマーをアニールさせた後、クレノーフラグメントによって相補鎖を合成させる。このとき の基質に[α-32P] dCTPを用いることでRI標識したプローブが得られる。また、「ノザンハイブリダイゼーション」実験で 使用する器具の実物についても紹介したいと考えている。

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Last Updated 2005/6/22