山本 好男(社会医学講座 法医学)
ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色は、ほとんど全ての染色の基本をなすものであって病理組織学的検討、形態学的観察に欠かせない染色法である。薄切した組織標本を脱パラフィン後ヘマトキシリン溶液およびエオジン溶液で染色する。その染色態度は、核はヘマトキシリンで紫藍色に、原形質、結合組織および各種細胞間物質などはエオジンで種々の濃さに赤染される。また、赤血球は強く赤染する。したがって、この染色法は標本がどのような組織から構成されるかを把握するために都合のよい染色法である。
また、免疫組織化学は、組織細胞の形態学的な観察およびタンパク質や酵素、ホルモンなどの機能的な証明が一度に行える手法であり、構造と機能の同時証明(観察)が可能である。この方法は抗原抗体反応の特異反応を基盤としており、抗原と結合した特異抗体の局在を、酵素組織化学を用いて証明するもので、現在、形態研究法として幅広く用いられている方法である。
今回の講習会では、組織標本作製法の実際として、まず、@ホルマリン固定 A脱水、パラフィン包埋 B切片・薄切作製 C脱パラフィン D染色・脱水および抗原抗体反応・可視化 E封入 F顕微鏡観察について知っておかなければならない点、知っておけば便利な点を解説する。
さらに、実習として、固定,薄切、HE染色、免疫染色、観察法についてそれぞれの実際を体験する。また、実際に組織学的な検討を加えようとする際の準備すべき試薬や器具類、従来から使用されているものや有ると便利なものなどについての解説および応用編としてのその他の染色方法についても概説する。
実習1 パラフィン包埋ブロック薄切法
ミクロトームの使い方と薄切標本の作製
実習2 ヘマトキシリン-エオジン染色(HE染色)
各自、HE染色を行う
実習3 免疫組織染色法
各自、免疫染色を行う
実習4 標本観察法
光学顕微鏡使用法の解説と標本観察についての実習を行う
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Last Updated 2008/8/1