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実習講義 リアルタイムPCR定量法

礒野 高敬・洲崎 雅史(実験実習支援センター)
協力:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 

 mRNAレベルの遺伝子発現は、PCR(polymerase chain reaction)法が開発されるまでは、放射性同位元素の32Pを用いたノーザンブロットを行って解析していた。RT(reverse transcription)-PCR法を用いれば、自分の研究室で簡単に遺伝子発現を調べられるようになった。当初、PCR法には定量性に問題があるとされていたが、現在では、リアルタイムPCR法を用いればきちんと定量できるようになっており、もはやノーザンブロットを行って遺伝子発現の定量を行う必要がなくなっている。リアルタイムPCR定量法は、もちろんDNA量の定量もでき、また、アレイ解析や次世代シーケンシングの試料の品質解離にも必須のものとなっている。
 今回の実習講義では、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の協力を得て、LightCycler®480SystemII装置を用いて、Universal Probe Library法でリアルタイムPCR定量を行う。以下に実習の概要を示すが、当日に改めて実際のプロトコールを配布する。また、装置が稼働している時間を使って、リアルタイムPCRの原理やコツを解説してもらう予定である。

リアルタイムPCR定量の実際 ―講義と実習―

 遺伝子量および遺伝子発現レベルの定量、遺伝子欠失の検出、遺伝子多型の検出、PCR産物の同定等の研究で分析の信頼性を確保するためには、装置の正確性、検出及び温度管理の均質性、再現性、感度向上は重要なファクターである。 今回使用するLightCycler®480SystemII装置は、新規の金属ブロックとペルティエ素子と呼ばれる半導体部品を遺伝子増幅反応の熱媒体に利用し、迅速な加熱と冷却能力を有したサーマルサイクリングシステムを導入している事により、多様な要望に対応して装置のフレキシビリティ、様々な検体数(96〜384検体)への対応、増幅処理に必要な時間短縮も可能にした。
 今回、LightCycler®480SystemII装置本体の機能とソフトウェアの機能により、増幅から分析、定量、解析までを、高感度、高精度、良好な再現性でかつ、数十分で測定・分析することが可能であることからこの装置を選択し、実際に実習と講義(UPL・PCRノウハウ)を行いリアルタイムPCR定量の世界を体験して頂く事を目的とする。
 アプリケーションは、2重鎖特異的な蛍光色素を初めとして多様な蛍光プローブが利用可能であるが、新しいアプリケーションによるアプローチで高い特異性・再現性・条件設定が簡単なUniversal Probe Libraryを実習の試薬として利用していく。

Universal Probe Libraryのコンセプト
Universal Probe Libraryは165本のプローブから構成され、2重標識されたReal-Time PCRアッセイのためのTaqman-Probeです。これによりヒト、マウス、ラット、線虫、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、チンパンジー、シロイヌナズナ、イネ、トウモロコシ、酵母、生物種を限定しない、のほぼ全ての転写産物の定量が可能となります。 ターゲットに特異的なPCRプライマーとのコンビネーションにより上記生物種の95-99% の転写産物を検出・定量できます。プローブは目的の転写産物に対して最適となるよう注意深く選択されており、各プローブはおおよそ7000種類の転写産物にハイブリダイズし、それぞれの転写産物にはおおよそ16種類のプローブがハイブリダイズされ検出可能となりますが、PCRアッセイの中で選択されたPCR Primerにより特異的に1種類の転写産物のみを検出できます。 Universal Probe Libraryは2重標識のTaqman Probeを従来の25〜35merから8〜9merに短縮することで機能しています。特異性とTm値は安定なDNA類似体であるLNA(Locked Nucleic Acid)により維持され、プローブの配列は多くの転写産物中に複数箇所存在します。そのため、同じ1種類のプローブで何千種類もの転写産物のアッセイをデザインできます。LNAプローブを使用することでプローブの長さを短縮でき、さらに様々な転写産物中において非常に頻度よく現れる配列の中でプローブをデザインします。これが、Universal Probe Libraryのコンセプトの根幹になります。
165本の2重標識Taqman-Probeの配列は対象の生物種のすべての転写産物をカバーできるよう慎重に選択されています。

実験プロトコール
XX遺伝子に対して1組のUPL及びプライマーを合成し、キット記載の方法でランニングを行いターゲット遺伝子の定量を行う。
【使用機器】: LightCycler®480インストルメントII,96well(Cat,No,5 015 278)
【使用試薬Kit】
  ・LightCycler 480 ProbeMaster (Cat,No, 4 707 494) 
  ・Universal ProbeLibrary Probe # 1- # 165
  ・PrimerF/R
  ・ターゲット遺伝子
【消耗品】:LightCycler 480 Multiwell プレート96(+foils)(Cat,No,4 729 692)
【反応液組成】推奨反応液組成による反応プロトコールで行う。
反応液組成
LightCyclerプロトコル


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Last Updated 2009/8/3