茶野 徳宏(臨床検査医学講座)
牧野 悟士(分子神経科学研究センター)
礒野 高敬・洲崎 雅史(実験実習支援センター)
次世代シーケンサーは、massive parallel sequencingを行なう装置で、一度の操作で 3~4億個のシーケシングが平行して行うことができる。これを用いることで、網羅的な遺伝子解析が可能となり、遺伝性の疾患関連遺伝子の探索や、標的細胞の全トラスクリプトームの解析などを容易に行うことができる。
実験実習支援センターでは、Illimina製の次世代シーケンサーGenomeAnalyzer IIxを昨年から稼働させてきた。本講演では、これまでの1年間でGenomeAnalyzer IIxによる解析を行われた先生方にご協力をいただいて、以下のプログラムで次世代シーケンサーの活用方法を紹介する。
14:00〜15:00
「次世代シーケンサーの概要とデジタルトランスクリプトーム解析の実施例」(礒野)
(休憩)
15:10〜15:40
「次世代シーケンサーの活用法(DNA-seq)」(牧野)
15:40〜16:10
「次世代シーケンサーの応用: ChIP-seq, RNA-seq解析からの教訓」(茶野)
16:10〜16:30
「次世代シーケンサーの利用方法」(洲崎)
礒野 高敬(実験実習支援センター)
最初に、次世代シーケンサーの原理、解析過程、適応範囲(DNA-seq、ChIP-seq、RNA-seq)などの概要と実験実習支援センターに導入されたGenomeAnalyzer IIxと解析サーバースペックの紹介を行う。引き続き、演者が行っているRNA-seqによるデジタルトランスクリプトーム解析の実施例を紹介する。
実施例1. 膀胱癌細胞のグルコース枯渇処理により生じる遺伝子発現変化の
デジタルトランスクリプトーム解析
実施例2. 心不全実験モデルのイヌのデジタルトランスクリプトーム解析
牧野 悟士(分子神経科学研究センター)
次世代シークエンサーは、従来のサンガー法によるシークエンシングとは異なり、1回のランで数千万〜数百億ベースの塩基配列情報を得ることができる。このため、遺伝性疾患の関連遺伝子探索においては、疾患患者の全エクソン配列や全ゲノム配列を明らかにすることによって、新生の突然変異が生じた疾患遺伝子の迅速な同定が可能となる。このことにより、疾患の分子的な発症機構を解明するための最初の手がかりを迅速かつ確実に得ることができるものと期待される。一方で、次世代シークエンサーによって得られた膨大な配列データをどう処理するか、また、どのように候補の網羅解析を行うか、さらに大量の候補からどのように絞り込みを行うかについては、現状でもスタンダードとなる方法がなく研究の目的にあわせて選択ないしは新規に開発する必要がある。
今回、実験実習支援センターに導入された次世代シークエンサーGenomeAnalyzer IIxによるゲノム配列の解析を目的とした活用法について、サンプルの調製やデータ処理の内容を紹介する。また、手動操作では不可能な量のデータを取り扱うことが必須となるが、テキストデータの整形や条件による抽出など定型的な処理については、比較的簡単なプログラミング技術の修得によって容易に実行できるようになる。それらの具体的な方法についても紹介したい。
茶野 徳宏(臨床検査医学講座)
次世代シーケンサーは従来のサンガーシーケンスとは桁違いの塩基配列情報を得ることができる。Massive parallel sequencingを行なう、そのシーケンス原理より、従来から行われているChIP-on-chip解析やRNAマイクロアレイ法に代わる解析として、ChIP-seq, RNA-seq法が行なわれるようになってきた。
我々は、ChIP-seqをいくつかの実験系に適用し、解析を試みてきた。また、RNA-seqデータの解析を、実験実習支援センター、磯野らと共同で試みた。これらデータ解析の経験から、いくつかの教訓を得ることができた。
実際、どちらの実験解析系も、その印象とは異なり、それだけで直ぐに業績になるわけではない。しかし、それぞれの解析の特徴を踏まえて、各々の実験系に適切に適用すれば、以前よりグローバルな生物学的解析が可能になり、新たな研究展開の契機になると考えられた。わずかな経験ではあるが、これまでの次世代シーケンサーの試用実感を率直に紹介したい。
洲崎 雅史(実験実習支援センター)
次世代シーケンサ illumina GenomeAnalyzar IIx の紹介と、支援センターでの利用方法について説明します。
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Last Updated 2011/8/1