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医学研究従事者のための安全対策


実験センター 礒野 高敬   
岡本 良平   
奥野 弘志   
洲崎 雅史   
山元 武文   

 医学研究は、分子生物学や画像解析技術など多彩な技術を駆使して行われている。そして、技術的な発展が目覚ましく、新たな技術、機器、試薬がどんどん開発されている。これらのツールをうまく使えば、研究の進展が期待されるが、扱い方を誤ると安全上問題が生じる場合もある。特に、実験センターのような共同利用施設の場合は、他の研究者や技官等に被害を与える可能性が高いので注意が必要である。更に、近辺住民に迷惑をかけたり、不安感を与えることにもなりかねない。そこで、医学研究に従事する研究者及び技官のための安全対策について述べることにした。
 安全に関わらず、上手に研究を行うためには、一般的注意として言えることは、それぞれのツールについて正しく知るということである。最近結果だけを求める風潮が強いためか、大腸菌のトランスフォーメンションの方法は解るが、滅菌等の後始末を知らないという例もある。これでは困るのである。また、共同利用施設では、施設なりのルールが有り、それを正しく守る必要がある。
 以下に、ツールについて正しく知り、安全にかつ上手に研究を行うための方法を挙げる。

  1. 正式のマニュアルをよく読むということ
    • 実験センターでは、センターにある機器の性能及び取り扱い方を記載したガイドブックをホームページに載せている
      (http://wwwcrl.shiga-med.ac.jp/home1/g_book/contents.html)
    • 安直な解説書及び他の研究者が作成したマニュアルには、危険性及び後始末について書いてないことが多い。
  2. よく知っている人に聞くこと
    • 実験センターでは、各機器について熟知した担当の技官がいる。
    • 他の研究者に聞く場合は、そのツールをきちんと使いこなしている人に聞くこと。
  3. 自分の頭で考え、正しく理解すること
  4. 人にツールの使い方を正しく教えられるようになること
  5. 広い視野で余裕を持つこと
    • 安全とか周りのことが考えられるようになる

 特に、安全を考える場合、危険性のあるものについては、ガイドラインというものがある。おおにして、読まずに使っている研究者が多い。重要と思われるガイドライン及び規定のいくつかを挙げる。これらのガイドラインを熟知し、研究する必要がある。
  • 大学等における組換えDNA実験指針(文部省、平成10年4月)
  • 大学等における研究用微生物安全管理マニュアル(案)
      (学術審議会特定領域推進分科会・バイオサイエンス部会、平成10年1月)
  • 感染動物実験における安全対策(案)(国立大学動物実験施設協議会、1987)
  • ウイルス研究におけるバイオセーフティ指針(日本ウイルス学会、1993)
  • 未固定細胞のソーティング実験に関する生物学的安全操作指針
      (国際細胞分析学会・バイオハザード対策作業部会、1997)
  • 毒物及び劇物取締法(昭和25年)

  • 実験実習機器センター組換えDNA実験室利用内規(1998)
  • 実験実習機器センター病原微生物等取扱申し合わせ
  • 実験実習機器センター動物用エックス線透視室放射線連絡協議会規程
  • 実験実習機器センター動物用エックス線透視室・循環器連続撮影室利用方法
  • 実験実習機器センター放射線照射実験室放射線連絡協議会規程

 以上の点を踏まえ、実験センターにおいて安全上問題となる点について説明を行う。また、問題となる実験室で、実際の注意点の説明も行う。最後に、安全対策についての質疑応答を予定している。

   予定項目
    1.組換えDNA実験について
    2.病原微生物等取扱について
    3.遠心機の取り扱いについて
    4.放射線実験について

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Last Updated 2005/6/22