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パラフィン包埋材料を用いた血球細胞の
免疫組織化学的検索の進め方について


岡部 英俊 Hidetoshi OKABE (臨床検査医学・教授)

Immunohistochemistry, hemopoietic cells, paraffin embedded tissue

 免疫組織化学は、病理組織学的診断に頻繁に使用されるようになってきた。市販の抗体の改善と抗原の賦活化方法の進歩により、従来は凍結材料でなければ検出できなかった抗原もパラフィン包埋材料を用いて検出できるようになってきた。リンパ球をはじめとする白血球についても、かなり詳細な分類が、パラフィン包埋材料を用いて分析が可能になっているので、リンパ球を中心にパラフィン包埋材料で、可能な検索の範囲とその応用方法について概説する。

1.リンパ球系細胞の分類に使用可能な抗体

リンパ球全般:

CD45: リンパ球全般、ただし形質細胞を除く。前処理不要。


未熟リンパ球:

CD10: pre B、pre T、芽球化B細胞などにでる。
 前処理はクエン酸緩衝液(pH 6.0)によるオートクレーブ処理。


B細胞:

CD20: B細胞全般、前処理不要。

CD22: B細胞全般。前処理はクエン酸緩衝液(pH6.0)によるオートクレーブ処理。

CDw75: B細胞全般とT細胞の一部。
 前処理はクエン酸緩衝液(pH 6.0)にてオートクレーブ前処理。

免疫グロブリン: 細胞質内の免疫グロブリン同定に有効であるが細胞表面のものは検出が難しい。前処理はトリプシン処理。


T細胞:

CD3: T細胞全般。前処理はトリプシン処理。

CD4: Helper/Inducer T細胞。
 前処理は、トリス緩衝液pH 8.0によるオートクレーブ処理。

CD8: Cytotoxic/Suppressor T細胞。
 前処理はクエン酸緩衝液(pH 6.0)にてオートクレーブ処理。

CD45RO: T細胞全般。前処理不要。


NK細胞:

CD16: 前処理はクエン酸緩衝液(pH6.0)によるオートクレーブ処理。ただし、CD16a、CD16bともに認識されるため、好中球、単球など骨髄由来の細も染色される。

CD56: クエン酸緩衝液(pH6.0)によるオートクレーブ処理。
 神経系の細胞神経内分泌癌、横紋筋肉腫にも陽性となる。

CD57: 前処理不要。神経系の細胞、髄鞘にも陽性となる。



2.骨髄の造血細胞の分析に使用可能な抗体

赤血球系統:

グリコフォリンA,C: 前処理はトリプシン処理


巨核球、血小板:

GP IIIa: 前処理はトリプシン処理。

第VIII因子関連抗原: 成熟巨核球と血管内皮細胞。前処理はトリプシン処理。


顆粒球:

顆粒球屡ペルオキシダーゼ: 前処理はトリプシン処理。

CD14: 顆粒球と単球。前処理はクエン酸緩衝液(pH 6.0)でオートクレーブ処理。

CD15: 前処理不要。

Mac 387: 顆粒球と単球。扁平上皮にも反応。前処理はトリプシン処理。


単球:

CD14: 顆粒球の項参照。

Mac 387: 顆粒球の項参照。

CD68: 前処理はトリプシン処理。

ニューラミニダーゼ: 前処理はトリプシン処理。



 以上に掲げたマーカーの組み合わせにより、炎症や、リンパ系腫瘍、骨髄内増血細胞の性質の同定や白血病などの分析がかなり詳細に行うことが可能であるので、解析の実例を示しつつ、説明を行う。

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Last Updated 2005/8/8