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上手なmRNAの解析法


遠山 育夫 Ikuo TOOYAMA (神経遺伝子解析分野・教授)

mRNA、PCR、Sequence

 最近の分子生物学の進歩によって、どの研究分野においてもルーチンに分子生物学的手法が取り入れられるようになった。分子生物学的解析データがないと、国際一流誌に掲載されないことも多い。そこで本講義では、はじめて分子生物学的実験を行う人にもわかりやすいように、分子生物学の基本的手法のひとつmRNAの抽出方法について、基礎から高度テクニックまで、具体的ノウハウを交えながら解説する。

1. 新鮮組織標本からの総RNA抽出とRT-PCRによるmRNA解析について
 新鮮組織標本から総RNAを抽出したのち、逆転写酵素を用いてcDNAを作製し、それを材料としてpolymerase chain reaction(PCR)を行う方法は、現在もっとも広く用いられている。そこで、まず入門編として、Trizol試薬を用いた総RNA抽出法と逆転写酵素によるcDNA作製法を解説する。現在、プロトコールにそって何気なく行っている研究者にも役立つように、プロトコールに記載された各ステップの意味と注意点もなるべく多く紹介したい (Protocol 1)

2.新鮮組織標本からの上手なmRNA抽出法について
 総RNA抽出法は、比較的容易に行うことができる。しかしながら、mRNAは総RNAのわずか4%を占めるのみである。したがって、ノザンブロット法やcDNAライブラリーを作製したいときには、総RNAではなくmRNAのみを回収することが望まれる。最近、分子科学研究センターでは、新鮮組織標本から効率よくmRNAを抽出する独自の方法を開発した。mRNAを必要とするときは、この方法がおすすめである。分子生物学的研究をすでに行っている人にも役立つ方法である (Protocol 2)

3.固定病理標本からの総RNA抽出法
 病理標本の形態学的な観察と分子生物学的な解析を同時に行うと、それぞれ単独に解析をした場合に比べ、多くの情報が得られることが多い。一般には、固定した病理組織と別に、未固定組織を凍結保存しておき、それを分子生物学的検索に用いることが多い。しかし、その方法では、固定標本しか存在していない場合はお手上げである。我々は、固定病理標本から、効率よく総RNAを回収する方法を開発した。この方法だと、たとえば20mmの厚さの連続切片を作製し、一枚を形態学的観察に供し、その隣接する一切片をRNA解析に用いることも可能である。形態学的研究を行っている人にとっても、簡単に分子生物学データを付け加えることができるので、是非参考にしてほしい方法である (Protocol 3)

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Last Updated 2005/8/8